成長するチームに必要なのはお手本。

以前にも根本陸夫さんのお話は
書いたことがありますが、
改めて書きたくなったので記事にします。

組織には、見本と言うか
お手本になる人が絶対必要という話。

根本さんはプロ野球界で裏業師と呼ばれた人。
広島、西武、ダイエーで監督やGMを務め、
弱小球団を勝てる組織まで育てて譲り、
黄金時代の土台を作ってきた人。

導入期と言った最初の組織づくりに長けてて
そのチームマネージメント論に感動して
私は大学時代の卒論で書いたほど
かれこれ30年間位、尊敬してる人です。

負け犬根性が染みついたチームを変えるには
勝ち方を知っていて、華も影響力もある
精神的支柱になるリーダーが必要と
血の入れ替えを率先してされました。

西武時代は阪神から田淵選手を
ダイエー時代は西武から秋山選手を獲り、
土台作りを完成させたのです。

ダイエー時代の秋山選手の獲得には
かなりの出費となりました。
これからがピークを迎える
野手と投手の中心選手を出してまで
なぜ峠をこえかけた秋山選手を獲得したのか?

目先のことで考えたら
こんな入れ替えしなくても
少しは勝てたでしょうが、
数年先に優勝できるかと言えば
おそらく無理だったと思います。

何故なら誰も勝ち方を知らないどころか
勝つ喜びすら知らないのですから。

優勝することがどれだけ嬉しいか?
目標達成することがどれだけ意味があるのか?
味わったことのない人間には
どうしていいのかわからないものです。

ちなみに「甲子園出場常連校は
なぜメンツが変わっても出場し続けるのか?」
に意味合いは似ていますね。

今まで一度も甲子園に出場したことない学校は
そもそもどれくらい練習したらいけるかなんて
正確な目安を想像すらできないです。

でも、常連校になると
「甲子園に出場した先輩たちは
毎日10km走っていた。」とか
「素振りを500回してた。」とか
具体的な数値で目安が代々伝わっていきます。
これが伝統になり、みんなの行動の目標に
なっていくのですから、これは強いです。

大きな目標にたどり着くまでの
具体的な行動や練習の小さな目標が分かってて、
それをひたすら練習するのですから
みんな理にかなった根拠ある練習になり
やっぱり目標には限りなく近づくでしょう。

勝つ喜びの前にこうやったら勝てるんだと
そのやり方を知っていないと
なかなか成果はでないものですから。

ダイエーに来た秋山選手は実績も
華も優勝経験も多数あるスター選手。

「成績を残している選手は
普段どんな練習をしているのだろう?
練習態度や取り組む姿勢、みんなとの接し方。
手本となるべくして見せることを心がけた」
と言われていたのを聞いて、
長期的視野で目標達成するのなら
やっぱり核になるお手本になる人は
必要なんだと思うわけです。

併せて言うのなら
いくら今、実績があっても
チームの輪を乱したり、ルールを守らない人は
長期的にみたら邪魔なので
どこかで見切る勇気と準備はトップは必要。

とは言え、解雇することが
難しくなってきた現在では
そもそも最初にそんな人をとらないといった
採用基準が大事になってくるとも思います。

秋山選手以降も根本さんは
西武黄金時代の勝つ喜びと勝ち方を知った
石毛選手や工藤選手を獲得していきます。

そして、その空気感が変わってきてから
数年後のダイエー黄金期の主力選手になる
小久保選手、城島選手、斉藤選手、井口選手、
松中選手、柴原選手、篠原選手等を
5年間のドラフトで一気に獲得して、
赤へル旋風広島カープや
90年代西武ライオンズ黄金期と同様の
素晴らしきチームを作ったのです。

若い選手達は秋山選手や工藤選手の姿を
ずっと見ていたと秋山選手が言ってました。

この押し引きというか
タイミングと言うか本当に絶妙で
根本さんの真骨頂である「人集め」が
大きく花開いたわけです。
やっぱり凄い人ですね。
改めて、感心し大好きになりました。

あんな大きな組織と自分たちの会社を
比べること自体、無理があると考える人も
いらっしゃるでしょうが、
どの組織も利益を上げ存続していくことは
共通の経営テーマとするのなら
「お手本」は誰なのか?
勝つ味を知っていて教えてくれるのは誰?
勝ち方を具体的に知っているのは誰?

それが社長でも外部の人間でもいいのですが
そんなコーチ役が必要なのは
どんな組織も一緒なのだと思います。

組織で甘やかされたり、えこひいきされる人は
優秀だからでなく、特別扱いしないと拗ねて
面倒くさい人がほとんどです(苦笑)。

でも、本当は手本になる人こそ
特別扱いされるべきです。
でも手本となる人は、
えこひいきされることを
組織としていい事とは思わない訳ですから、
やっぱりお手本なわけですね(笑)。

トップはそんな人をきちんと誉めてますか?
お金もですけど言葉で認めてあげないと
別の場所の手本になってしまいますよ。

「あいつはそんなフォローしなくても
分かっていてくれるよ。」と言ってて
去って行った人はいっぱい見ました。

短期的視野で問題児を特別扱いせずに
長期的視野でお手本の人をいい意味で
特別扱いすることは、
黄金時代を作り続けた根本さんの根っこ。

やっぱり見習わないといけないニュアンスが
いっぱいある人です。
今晩、久々に根本さんの本を読み直します!